#26 鉄の腸
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「俺は多種多様な人間を一括りにしたような話し方はあんまり好きじゃないんだが」と口にしながら床に降り立つと、常守の視線が背中を追いかけてくる。
「ここは敢えて大雑把にいこう。人間は器用なモノだと思う。」
スツールを回して椅子に腰掛け、知らず視線を下げた。
「自分の責任を回避する努力を、無意識に行う事が出来る。……余計な話だったな。俺も浮き足だっているのかもしれない。」
「………」
「槙島聖護をどう裁くか…問題はこれからだ。コイツはドミネーターをぶっ放すより遥かに難しくて厄介な仕事だ。だが、逃がすわけにはいかない。」
こちらを見る、琥珀色の瞳。
あの時身を浸した殺意の縁に必死で
「ヤツが罪を犯した事は厳然たる事実だ。」
かけようとした手が、空をかく。
こちらを真っ直ぐに見上げる明るい色を締め出すように、一度、目を閉じた。
そうでもしなければ、平静を保つ事が出来ない。
目で探しても
「しかし残った心配は光と縢…あの馬鹿野郎共の事だ。俺達と別れて地下へ向かって、何故そこで連絡が途絶えた。」
手を伸ばしても、触れられる距離にいないというその事実に。
「……後悔しています。あの時、光ちゃんを”下”に行かせた事。」
「代わりにアンタが消えていたかもしれない。消えていなかったかもしれない。無駄な問答さ。」
緩く首を振った常守がスーツのジャケットに袖を通す。
「もしかしたらそうならなかったかもしれない可能性を捨てたのは、私です。だから。」