#03 飼育の作法
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トレンチの襟から髪を出してドアに手をかけた時、朱ちゃんが「宜野座監視官」と遠慮がちに声をかけた。
「何だ。」
「私、執行官の皆と上手くやっていけそうな気がします。」
明らかに酸素欠乏気味の肺に新鮮な空気を送り込みながら、外へ踏み出す。
「それは同僚としてやっていけそう…という意味か?それとも調教師としてやっていけそう、という意味か?」
返答に詰まった朱ちゃんを一瞥して背を向けるその身を包む細身のコートは、似合ってはいるが昼日中見るには、黒すぎる。
「愚か者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言う。君が愚か者でないことを祈ろう。」
冷たい笑みを浮かべていた顔が、こちらを向いた途端逸らされる。
多分今、朱ちゃんと私は、同じ顔をしている。
「ようこそ刑事さん。」
と朗らかに挨拶してきた福福しい顔をした主任さんは、なんともねちっこそうな目をしていた。
ぺこりと頭を下げる朱ちゃんに遅れて、一応目礼だけしておく。
「現場を見せていただきます。」
「勿論。案内しましょう。」
きびきびと歩行を開始する二人の背を見てひとつ息を吐き、足を踏み出す。
4連勤からの当直明け後休日出勤。
何かものすごく強い栄養剤とか、もしくは特殊な注射でも打ってるんじゃなかろうか。
『てか人件費、絶対ケチりすぎ……』