#03 飼育の作法
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「被害者は塩山大輔、27歳。八王子ドローン工場勤務。午前4時ちょうどに死体が発見された。」
片手で操作されたパネルに目的地の概観、内部映像が映され、後部座席の光ちゃんが動くのが分かった。
「テスト中のドローンによって体をバラバラにされたらしい。」
「事故…でしょうか。」
「問題の工場で死傷者が出るのは、この一年間ですでに3人目だそうだ。明らかに異常だ。」
『現場は?』
「ドローンの挙動検査セクション…完全自動化された生産ラインの中で唯一の有人区画だ。ここにはおよそ50人あまりのデバッカーが常駐している。」
「泊り込み、なんですか?」
「たったそれだけの人数で毎月千台以上のドローンを評価検証するなんて、フルタイムシフトを組むしかない。」
『ホント日本人ってよく働くー…』
尻すぼみになった台詞を不思議に思う間も、なく。
「検査前のドローンに誤作動を誘発するプログラムを仕込めば、事故を装った犯行は十分に可能だ。」
「ということは…」
「殺人の可能性もある。」
「でも、たった50人しかいない環境なら全員の犯罪係数をチェックすれば……」
木々の間に見えてきた建物に、目を凝らす。
「ことはそう簡単な話じゃなくてな……。」
歯切れ悪く会話が終わり、車内に沈黙が落ちる。
「………」
どこの職場も、こうなんだろうか。