#01 犯罪係数
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「こちらからは以上だ。」
淀みない口調でそうギノが締めくくり、室内をしばしファンの回る音のみが支配する。
「しっかし、すっごい子達ゲットしましたね~ギノさん?」
ぎぎっと椅子を軋ませて顔を向けた縢が眼鏡越しに剣呑な視線を向けられ、おどけた顔で小さく肩をすくめた。
「いやぁ、しかし実際本当にすごいもんだぞこのお譲ちゃんたち。方や訓練施設を主席で卒業、方や…マイアミで…Faculty Of…?」
「Faculty Of Social Science。社会科学部を2スキップで卒業。優秀…なんてもんじゃないですね。」
流暢な発音を披露した六合塚が、そう言って整えた爪に息を吹きかける。
「とか言ってて実はすげぇアウトローだったらどします?あの辺りって今じゃ一部区画以外文明崩壊…むしろアングラの方が明るいみたいじゃないスか。つかシンナー臭ぇよ六合っち。」
「そう?」
自身のホロ画面に表示された二人の新しい同僚、否、飼い主の個人データを眺めながら、煙草に火を点ける。
いかにもお役所作成されましたという堅苦しい文章の中で唯一生きた臭いを放つ、二枚の写真。
いかにも精神健康優良児といった風な、ショートカットの少女。
そして
「二人とも可愛いけ、ど……オレ的にはこっちのアメリカ帰りちゃんのがタイプかなぁ~」
後頭部に感じた意味ありげな視線に介せず、半分無意識に画像ファイルを拡大。
「……しっかしまた、似てねェなあ…」
微量な笑いを含んだ声を聞きながら、息を吐く。
乾いた音をどこか遠くに、聞いたような気がした。