#24 硫黄降る街
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「やってくれるぜ、槙島聖護…」
「でも待って下さい。この”へルメット”犯罪に、槙島が関与しているという決定的な証拠はまだ見つかっていません。」
スタンバトンをチェックしていた切れ長の瞳が、こちらを見る。
「考えてみろ。普通の人間は、シビュラシステムを無効化する装備を作ってみようと思った時点で色相が濁る。それを設計し、量産し、ばら撒いた…下準備には数ヶ月はかかっているだろう。」
防刀ジャケットを着込んだ上からレイドジャケットを羽織った光ちゃんが、地下駐車場へと続く扉を開け、縢くんが続く。
「部品の発注、流通の手配…街中のスキャナを避けながら出来る事じゃあない。」
「――あ!」
『あのヘルメットを作れるのは、ヘルメットなしでシビュラシステムに対抗出来る人間だけ。』
運転席に乗り込んで前を見据えたその横顔は、厳しい。
「シビュラシステムの盲点をついた、集団サイコ・ハザード…。それが槙島の目的ってコト?」
後部席から身を乗り出した縢くんの横で狡噛さんがドアを閉めるのを見ながら、知らず眉根を寄せる。
「…違う。だって、槙島の犯罪はいつだって何か答えを探すようなところがあった。……ひどい暴動だけど、この混乱が目的とは思えない。」
「監視官に賛成だ。こんな暴動を見物して喜ぶ程度の犯罪者だったなら、もっと楽に逮捕出来る。」
『思い返してみれば御堂ってヤツ、いたよね…アバター乗っ取り事件の。サイコ=パス色相チェックは4年も前の定期健診が最後…そこから街頭スキャナに引っかからずにずっと暮らしてたなんて、あの時は他に可能性もなかったから納得するしかなかったけど…こういうコトだったのかもね。』
「でもさ、そうなるとヘルメットは奴等の切り札っつーか、そんなよーなモンなわけっしょ?ここにきて、いきなり安売り?」
『…もーコソコソやる気はないってコトじゃないの?ホラ出すから、早く座って。』
不機嫌そうな声音に、「へーい」と暢気な返答が返る。