#23 甘い毒
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触れた指先を押しやったつもりの手が優しい、でも抗い難い力で捕えられる。
『………』
見下ろした境界の色をした目に映る自分が霞んでよく、見えない。
掬い上げるようにされた胸の中は暖かくて、煙草の匂いがした。
これ以上優しくしないで。
私も、しないから。
お願いだから。
お互いの瞳の最奥に在るその鈍くて遠い、でも確かな輝きに私達はきっと、耐えられない。
絶対に。
そんな事を願って、怯えながらぎゅっと、きつく抱き締めてくる腕にすがる事も、それを払う事も出来ない私を
ねぇ
どうにかして。
「俺のせいにしていい」と呟かれた言葉が空気に、溶けていく。
「…全部…」
「だから」と懇願するような響きを滲ませた声に、逞しい肩に額を押しつける。
それを感じ取った狡噛さんの顔が、上がる。
長い睫毛が伏せられるのに誘われるように、唇を開いた。
ねぇ
慰めるような柔らかな口付けじゃあでも、足りないから。
助けて。
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