#23 甘い毒
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小さく見開かれた目に映る自分は、鈍い明りの下ではひどく、見えづらい。
「ただ、それだけだったんだ。」
だからこそ
「今も」
こんなに。
「顔が、見たいと思って」
会いたくて
こんな、恐ろしく、馬鹿みたいな事を。
触れたくて
「お前の。」
どうしようも、なくて。
動揺を露にするのに構ってやる余裕すらほとんど無くて、ポケットに突っ込んだ両手を、握り締める。
「………」
無言で顔を戻して俯いたその白いうなじから、短くなった髪がさらりと零れる。
地上の喧騒さえ聞こえてきそうな沈黙にややあって、口を開く。
「…只の言い訳だな、すまない。」
『…なんなんですか、それ…』
『なんなのよ、それ』と繰り返される声は、吐き出すように苦しげで。
自分を一時、忘れてしまう。
こんなにも醜い自分を
あまりにも、容易く。