#23 甘い毒
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「上手く追跡は撒けたようだね。」
「チョロイもんさ」と答えた男に、唇だけで笑う。
「ドミネーターを使えねェ公安なんて、屁でもねェ。」
「でもよォ」と鉄バッドを振り回した男がこちらを向いて下卑た笑みを覗かせるのを合図にしたように、他の2人がそれぞれに武器を取り出す。
「アンタ、肝心なところでネジが1本抜けてるよなぁ。それだけのお宝を1人で持ち歩いて、用心とか考えなかったワケ?」
目を伏せて軽く息を吐き、口を開く。
一体、いつからヒトは
「これは、啓蒙の為の道具だったんだ。人が、ヒトらしく生きる為に…家畜のような惰眠から目を覚ましてやる為に。」
「はァ?「シビュラに惑わされた人々は、目の前の危機を正しく評価出来なくなった。その意味では君達も、あの哀れな羊達と等しく愚かしい。」
こんなにも。
「そうかよォ!!」
バットを振り被った男の反対から迫ってくるナイフの煌きに誘われるように間合いを詰め、その腕を取って回し、振り下ろされた鉄を受け止める。
「うお゛ッ」
盾にした男の横合いから足を突き出して1人を蹴り倒し、未だ掴んだままの腕を捻るようにしてその背中に肘を突き降ろす。
くぐもった呻きを漏らした男が沈み込むのを待たずしてつま先で顎を砕き、車を背に突っ立ったままのもう1人の顔面に振り返りざまに靴裏を叩き込む。
倒れるのさえ遅すぎて思わずもう一撃を入れた後にはもう、自分の周りには誰一人として立っていない。
「……っお゛――」
仰向けに倒れた男の口にグリップを挿し、見下ろす。
「ああ本当に…嘆かわしい事だ。」