#03 飼育の作法
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眼前を通過していく文字と数字の羅列を読み取りながら、肘をつく。
『新築バストイレ別、ペット可、最新セキリュティシステム完備で月15万。』
昼食後から目を通し続けている過去の事件記録は、かれこれ550件目。
電子情報化された他人の不幸などに思いを馳せる柄ではないが、お休み前のDVDは必須だ。
『好物件だと思って即決めしたら、まさか隣がプライベートにまで難癖つけてくる昔かたぎなテンプレ上司だったなんて』
今日は仮眠室で、ネロとパトラッシュの力を借りることにしよう。
『まじウザーイ。』
ガタンッという音を聞きながら新たなファイルをクリックすると、机に影が射す。
「………ずいぶん大きな独り言だな?」
見上げた顔に浮かぶ表情に、再認識する。
クールで理知的、ホットで衝動的
『あ、聞こえちゃいました?』
笑みを浮かべて首を傾げると、無理矢理椅子から離される。
「貴様……」
嫌いじゃない。
『女の子に向かってそれはないんじゃないですかぁ~、ギノ先生?』
打たれたように目を見開いたその手を、腕から剥がす。
『…なーんて、似てまし
宙に浮いた言葉が、ファンの音に一瞬で消される。
この人に逢う時はいつも、人工的な薄明かりの下。
だからこんなに、よく、見える。