#23 甘い毒
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<ええ~っとね~ぇ…>
気の抜けるような声に耳を傾けながら、夜の路地を行く。
必死に逃げる伊藤は一体、どこに向かっているのだろうか。
隠れ家もしくは、と期待しかけ、止める。
あの玩具を用意したのは間違いなく槙島だろうが、あの男がそう簡単に姿を晒すわけも無い。
伊藤はただ、闇雲に走っているだけだ。
<4ブロック先に資材倉庫。フルオートメーションだから職員は0!>
<そこに追い込む!近隣のドローンを動員して誘導を!>
<おっけーぇ。>
<聞いての通りだとっつあん!回り込んで頭を押さえてくれ。>
「おう!」と威勢の良い声が前を行く背中から聞こえ、次いで<それと監視官!>とよく通る声が飛ぶ。
<アンタらは伊藤に近づくな。さっきの二の舞になる。>
<はっ、はい!>
無言で相手には見えない応えを示し、ホロを立ち上げて朱ちゃんのサインを捜す。
<市民の皆さん。こちらは、公安局刑事課です。現在――>
少し離れた所から聞こえてきたお馴染みの案内が、時を置かずして輪唱のそれへと変わっていく。
『朱ちゃーん?』
<何っ>
『あのさ<何歩いてんの光ちゃん!朱ちゃんも止まらない!貴女達もしっかり戦力なんだからね!!>
それはただ、誘導装置の一つとして貴女の計算に入っているだけでしょうと思いながら再び足を、踏み出す。