#23 甘い毒
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「今度はなんだ。」
苛立ちも露に問い質すギノに、志恩がどこふく風といった調子で応える。
<高速道路で現金輸送車が襲撃されたって。>
「現金輸送車って…」と呆然と口にした六合塚が顔を見合わせた縢の顔にも、そっくり同じ様な表情が浮かんでいた。
「志恩、そいつ等もヘルメット装着者だな?」
<さぁっすが!その通り、数は3人。全員工具類で武装。さっきの事件とは別口ね。>
『志恩さん、調べて欲しい事が。』
<もー色々と調べてる最中なんだけどぉ>と恐らく銜え煙草でキーを叩いている志恩の不平染みた応えに『ちょっとでいーから』と息せき切るのに横から、口を開く。
「アンタを情報分析の女神様と見込んで頼んでる。」
<…アタシ、おだてられると木にも登るタイプなのよねぇ。で何。>
「被害者藤井博子、彼女の周囲にトラブルはなかったか。」
<記録に残る程の事はなかったようね。>
しばしの間をおいて返ってきたのに、淡い橙に彩られた指が耳のシルバーを弄る。
『彼女の関係者に、長い間外出していない人間はいませんか?』
猫を思わせる瞳が、相棒に向けられる。
<外出していない?>
「その人は多分…街頭スキャナに引っかかったら、一発でセラピー送りになりそうな容態だった…ていうのは?」
<成程>と声を低くした志恩が、<コイツ、どう?>と続ける。
<伊藤純銘…職場の同僚。ここ2週間程病欠続きで、健康管理指導の通達中。>