#23 甘い毒
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色相と犯罪係数が一致しない例はないでは無くもない。
強力な薬物、ヴィジュアル・ドラッグ、正当防衛という前提での暴力行為等々。
細かい矛盾は一般市民には隠され、実際にそんな事態に直面しない限りはそれに気づく機会はないのだ。
しかし無抵抗の女性をハンマーで殴って陵辱し、果ては殺すなどといった行為をしでかして色相が濁らないという事は理論上は有り得ない。
手が届く距離まで接近して、返り血を浴びながら人間を殺める――それはどうやったって誤魔化しようのない、明確な殺意の成せる技だからだ。
このヘルメットの男が、槙島と同じ様な化け物だとは思えない。
このエリア一体のサイマティックスキャンに限定的にでも干渉する手立てはおよそ考えられない。
エリアストレス警報が通常通り発令された事からしても、それはないと見て良いだろう。
とすれば仕掛けはこのメットの中にある筈だ。
漫然と目を落としていた端末に、何か、髪を引っ張られたような感覚を覚えた。
あまりに唐突だが、確かな違和感。
『……変だ……。』
「見ての通りだろう。」
『違うんです、そうじゃない…反応が正常に過ぎるんです。見て下さいこれが、エリアストレスの変移…犯人の色相変化とそっくりそのまま、推移してる。』
「あ、ホントだ。」
「コイツ…周囲の目撃者と全く同じメンタルで行動してたって事になる…。」
狡噛さんの言葉に、急速に思考がクリアになっていく。
『そんなのおかしい…!これだけの手口、何か動機がなきゃ…そうか!唐
瞬間、手元に今まさに通信を開こうとした相手のポップアップウィンドウが開いた。
<監視官、また緊急事態。>