#03 飼育の作法
夢小説設定
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タブレットを操作してメイン画面を切り替えながら、ひとつ席を挟んだ向こうのデスクを見やる。
一心不乱に文書を閲覧しているその様子に目を戻し、カップに手を伸ばす。
「ギノ」
「……何だ。」
「先に休む。」
何も言わずに見返すと、煙草を手にした狡噛が室内から出ていく。
その姿が完全に視界から消えるのを待ってから、口を開いた。
「佐々山」
未だ抵抗のあるその名を呼んでから横向くと、整った顔立ちに不似合いな表情を浮かべた同僚兼後輩、兼――
『はっい?』
裏返った声に、視線を戻す。
「一人暮らしの若い女性が、あんな時間にどんな人間が住んでいるかも分からない家を…」
ぽかんと小さく口を開けて自分を見上げた彼女の昨夜の格好を思い出し、眼鏡に手をやる。
「……訪問するとは、正気の沙汰とは思えないな。」
そもそもここに至るその来歴、能力、加えて配属初日の愚行と言うより奇行。
監視官と言うより、むしろ。
「一体向こうでどういう生活をしていたのかは知らないが、くだらない日本文化への憧憬は捨てることだ。引越しの挨拶回りなんて風習はとっくの昔に廃絶されてる。」
旧時代的なモノや行動は、不愉快な存在を思い出させ、気分が悪くなる。
「大体こういう仕事に従事している人間が何故ああいう行動をとれるのか『ウっザ。』