#23 甘い毒
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<こちらは、公安局刑事課です。現在、このエリアは、安全の為、立ち入りが制限されています。>
一言一言を明瞭に告げるコミッサちゃんにやった目を、滑るように入ってきた装甲バンに向ける。
<通行中の皆さんは、立ち止まらず…>
東京都内、厚生省指定薬局。
その前に駐車した車の後部ドアが開くと同時に二機の装備搬送ドローンが切り離され、各々が迷い無くそれを手に取っていく。
銃杷をこちらに向けた、さあ取れと言わんばかりのドミネーターを見下ろした眉間に知らず、深い皺が寄る。
この武器は、ゆきを救ってくれなかった。
そしてこの[正義]を信じた自分は、ゆきを、救えなかった。
「おい」
「ううわっ」
突如として降ってきた声と同時に背中を叩いた手に、よろめく。
「何を考えてるのかはなんとなく分かる。」
「狡噛さん…。」
赤い日を背負った暗くてよく見えないその顔に、諭すような表情が浮かぶ。
「だが今は、目の前の事件に集中しろ。」
「……はい。」
踵を返してポケットに手を突っ込んで歩いていく背中の向こうに、光ちゃんが見えた。
迷いの無い足取りで自動ドアをくぐるその姿にひとつ、息を吐く。
「………」
踏み出した足に確かな手応えを確信して、顎を、引いた。