#23 甘い毒
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『狡噛さんて、結構…』
「何だ。」
器用に菜箸を扱うのを見ながら、煩いテレビを切る。
『いや…あ、一昨日の報告書ちゃんと提出しましたか?』
思わず目を逸らそうとして、なんとか誤魔化す。
「……ああ。」
『ならいいんですけど』とフライパンに目を戻すのに椅子を引く。
「で俺が結構、何だって?」
『人としてどうかと思うくらい横暴ですよね。今何時だか分かってます?』
「5時14分。そろそろ日が昇る頃合だな。瀕死の重傷を負ってるところを置き去りにされた人間の要求としては極々ささやかなモンだと思うが。」
目を見開いて何事か言おうとしたその口が少しの間をおいて閉じられ、苦笑の形に歪む。
『…訂正します。狡噛さんって、寛大ですね。』
「馬鹿言え。」
訝しげな表情に、唇が引き上がる。
「分割払いだ。」
やや荒っぽくまな板に着地させられた出汁巻きに、思い切り良く包丁が入る。
『ですよねー。』
嫌味ったらしい口調を聞き流し、カウンターに肘をついて食器棚を指し示そうとして止める。
『…お皿、この辺の適当に使っていいですか?なんか、何でも……あ。こ…れ……?』
肩口にかかる程に短くなった髪が、微かに緩く波打って落ち着く。
薄い色の中に映る自分に目を、凝らした