#22 深淵からの招待
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どれくらい、そうしていただろう。
気づけば夕陽は水平線上に僅かにその名残を、留めるだけになっていた。
「………」
すがりつく様にしていた柔らかな胸から顔を上げ、手の甲で頬を拭う。
『もう、戻ろうか』と問う平坦な声に向けた視線の先で立つその姿に、ひとつ、瞬く。
波打つ長い髪が極彩色の都市光を透かして、風に靡く。
「…光ちゃん…?」
どうして自分の声が微かに上ずったのかは、分からない。
だけど
「………」
私を見つめて淡く微笑むその表情がひどく
美しいものに思えて。
それはまるで
深い闇の只中で踊る、善き妖精達のそれの様に妖しく
儚い幻かなにかの様に。
――もしもあの時目にした表情を、もしも、私が、捕まえていたなら。何かが、変わっていたのだろうか――
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