#22 深淵からの招待
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「…私ね、光ちゃん。」
穏やかな声で話す朱ちゃんが吹いてくる風に、目を細めた。
「ゆきとは中学で出会ったの。キノコみたいな髪型してるって。初対面でだよ?信じらんないよね。」
ふふっ、と軽い笑い声が耳を撫でる。
「……変わった子だなぁ、って、思ってた……」
もう二度と
「私はよく、ゆきに、そう言われてたんだけど。」
会えないなんて。
「佳織にもよく…二人共私のこと、からかって…」
信じられない。
大きな瞳が微かな驚きを含んでこちらを見て、そして唐突に。
『我慢しないで。する必要なんて、ないでしょう…?』
「…っ」
掬うように抱き締めた身体が小さく、震えた。
『……そんな悲しいコト、しないで。』
どうしてか一瞬だけ躊躇って触れた髪はとても、温かくて。
「……ゆき……」
紡がれた名前が、大気に、溶けていく。
見えなくなってしまうその刹那に刺すような強い煌きを
やがて悲しい程に鈍くなっていく筈の、痛みを
ただそれだけを今は、残して。