#22 深淵からの招待
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「…まだ本調子じゃないんじゃん。」
『煩いな!当たり前でしょう!?私はか弱い乙女なの!!』
口にしている事とは全く一致しない口調で吠えるのにため息を吐き、サイドボードに手を伸ばす。
「いい加減にしろ。……縢。」
顎で示すと、縢が腰を上げて肩をすくめた。
「はいはい。お邪魔しました、と……?」
本に落としていた目を上げ、スリッパを履いて室内を横切るのに眉を寄せた。
「光」
咎めるような呼び方が癪に障ったのか、振り返ったその顔つきは[不機嫌]と油性ペンででも書いたかのようだ。
『…何ですか?』
「どこ行くんだ。常守の所へ行くつもりなら――『トイレです。』
ドアが閉じきる前から聞こえていた忍び笑いの方を一瞥し、栞を抜いて読みかけの頁を開く。
「怒らせちゃったね。」
「珍しい事じゃない。」
ややあって横向き、じっとこちらを見ていた縢の顔に浮かぶ表情にひとつ、瞬いた。
「…佐々山って呼ぶの、やめたの?」
この男も、こんな顔をして
「……同じだ。お前や、常守と。」
笑うのか。
「違うよ。」
「…どこが。」
「…さぁね。」