#22 深淵からの招待
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そんな事を軽々しく口にするな!」
思わず声を大きくして見下ろすと、こちらを見る視線とぶつかる。
「宜野座さん…」
その顔に浮かぶ表情はとても穏やかで、微笑んでさえいた。
「大丈夫ですよ。私って、サイコ=パスが曇りにくいのだけが取り柄ですから。」
「………」
「準備完了。朱ちゃん。」
「はい」と返事して腰を上げた常守がベッドに寝転び、ヘッドマウント・ディスプレイを装着する。
落ちた明りの中で無防備に照らされた頼り無げな四肢に知らず、眉間に皺が寄る。
「貴女の体調とサイコ=パスはずうっとモニタリングしてるからね。」
「唐之杜さんを信用します。」
「オーケーオーケー。お姉さんに任せてね。悪いようにはしないから。」
制御側のコンピューターを調整する唐之杜の顔つきは、その口調に見合ったものではない。
当たり前と言えば当たり前なのだが少し、不思議な気もする。
「犯人と遭遇した時の事を、よく思い出して。」
「…はい。」
「その記憶に関わる脳内の信号をキャッチしたら、増幅します。かなりの精神的な負担が予想されるけど…」
「覚悟の上です。」
迷い無く言い切られた言葉には重く、確かな意志が込められていた。
今更自分ごときが、何を言うのも憚られる程に。
「…宜しい。始めるわよ。」