#22 深淵からの招待
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「おかしくなったのはドミネーターだ。そうなんだろ?」
彼女に、犯罪係数を無視して人を殺す事など出来ない。
相手によっては例え犯罪係数が高くてもその引き金を引くのをを躊躇うだろう。
だからこそ彼女は、[監視官]なのだ。
「銃そのものにはなんの欠陥も無かったんだそうです。今、宜野座さんが上に掛け合って調べてくれてます。」
「…一度も尻尾を出さなかった奴だ…何かカラクリがあるのかもしれない。ドミネーターばかりに頼ってきた俺達を、まんまと出し抜く為の秘策が。」
知らず外していた視線を、微かに揺れた空気に戻す。
「……いつも通りですね、狡噛さん。」
「…アンタも思ったより立ち直りが早い。」
「落ち込んでばかりじゃいられません。」
俯いていた佐々山が、その言葉に顔を上げる。
「槙島聖護を捕まえないと…仇ですもんね。私にとっても、狡噛さんにとっても……光ちゃんに、とっても。」
「……そうだな。」
「なんだか安心しました。」
小さく笑って腰をあげた常守のその向こうのシーツに、皺が寄っている。
常守にもそれが、分かったのだろう。
「ではお大事に」と頭を下げる一瞬前に翳った瞳が、佐々山の方を向くことは、なかった。
でも
「ひとつだけ、ある意味では嬉しいと思う事もあります。」
だからこそ歩みを止めた、その背中に。
風に吹かれたように揺らめいた薄い色を、見つける事が、出来たのだと思う。