#21 Devil's crossroad
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「藤間、幸三郎…!」
「3年前に世間を騒がせた連続殺人の被疑者だ。君達の現場では、[標本事件]などと呼ばれていたようだが?結局彼を取り押さえるに至った2係には、徹底した箝口令が敷かれた…」
「何故です!この男の為に我々がどれ程「今回のケースと同じだよ。」
再びキューブを手にした局長が、それに視線を固定する。
「事実上の現行犯…そしてあらゆる物証の裏付けがあったにも関わらず、藤間幸三郎にはドミネーターが反応しなかった。彼の犯罪係数は規定値に達していなかったんだ…。我々はこうしたレアケースを[免罪体質者]と呼んでいる。」
「免罪、体質…?」
この社会に、在ってはならない存在。
脳裏を、近しい者達の顔が過ぎる。
狡噛に佐々山…そして、常守……
「サイマティックスキャンの計測値と犯罪心理が一致しない特殊事例…確率的にはおよそ200万人に1人の割合で出現し得ると予測されている。槙島聖護の件についても驚くには値しない。この男は3年前の事件にも関与していた節があるのだろう?藤間と槙島。2人の免罪体質者が揃って犯行に及んだからこそ、あの事件の捜査は難航を極めたわけだ…。」
「…藤間幸三郎は、どうなったのです?」
ここで相手を怒鳴りつける事の出来ない自分を、他人は、どう思うだろうか。
狡噛は、佐々山は…常守……征陸は。
意気地が無いと、人でなしだと、俺を見損なうだろうか。
「行方不明、と公式には発表されているわけだが…私もそれ以外のコメントをここで述べるつもりはない。ともあれ重要なのは、彼の犯罪による犠牲者が二度と現れることはなかったという事実のみだ。」
「彼は、ただ消えたのだ」と独りごちた様に紡いだその視線が、怜悧さを宿してこちらを見上げる。
「シビュラシステムの盲点を暴く事も、その信頼性を揺るがす事もなく消えて、いなくなった。君達はシステムの末端だ。そして人々は末端を通してのみシステムを認識し、理解する。よってシステムの信頼性とは、いかに末端が適正に厳格に機能しているかで判断される。…君達がドミネーターを疑うなら、それはやがて全ての市民がこの世界の秩序を疑う発端にも成りかねない…分かるかね?」