#21 Devil's crossroad
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「然り。」
肯定されたというのに反対に、不安感と疑念ばかりが、募っていく。
「シビュラに間違いは許されない。それが理想だ」と言い切ったその顔が、体ごと横を向く。
「だが考えてもみたまえ。もしシステムが完全無欠なら、それを人の手で運用する必要すらない筈だ。ドローンにドミネーターを搭載して市内を巡回させればいい。だが公安局には刑事課が存在し、君達監視官と執行官がシビュラの目であるドミネーターの銃杷を握っている。その意味を考えた事があるかね?」
「それは…無論…」
ある、わけがない。
そもそもシビュラシステムとは、そういうモノの筈だ。
余計な事を、シビュラから逸脱した事を考えれば考える程に色相は濁り、犯罪係数は悪化する。
「いかに万全を期したシステムであろうと、それでも憶測の事態に備えて安全策は必要とされる。万が一の柔軟な対応や、機能不全の応急処置…そうした準備をも含めて、システムとは完璧なるものとして成立するのだ。システムとはね、完璧に機能する事よりも、完璧だと信頼され続ける事の方が重要だ。シビュラはその確証と安心感によって、今も人々に恩寵をもたらしている。」
「…はい…」
この話が一体何処へ行き着こうとしているのか、全く読めない。
「宜野座君。私は君という男を高く評価している。」
デスクのコンソールが操作され、瞬く間に解除されたロックが更にその先のデータへの入り口へと飛び、ファイルを開いていく。
「本来なら、君の階級では閲覧の許可されない機密情報だが…私と君の信頼関係において見せてやろう。」
「他言無用だぞ」という念押しと共に展開されたホログラフ表示に、目を見張る。
「これは…!」
年齢を感じさせない顔立ちに、左眼の下の泣きボクロ。
画面上からこちらを見返している男の顔に、愕然とする。
「とある男の逮捕記録だ。彼は犯罪係数の計測なしに身柄を確保された…記録上はまぁ、任意同行という事になっているがね……」