#21 Devil's crossroad
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鈍痛を堪えながら瞼を押し上げると、狡噛さんがサイドテーブルに置かれていた本を手にするのが見えた。
可変型ベッドを背もたれの形にして座しているその体のあちこちに包帯やガーゼがあててあるのを目にして少しだけ、罪悪感を覚える。
放っておいたら死ぬかもしれない仲間を置き去りにして、先へ進む。
もしも当の彼がこの場にいたとしたら、殴られるだけでは済まなかっただろう。
『……なんで相部屋なんですか…しかも執行官の…』
男性と、と続ける前に薄い患者服がひどく心許ない事に気づいて布団を引っ被る。
「どうせ二人ともアタシが見なきゃいけないんだし、お見舞いに来る皆だってそっちの方が便利でしょ、だそうだ。」
心の内でその名前を呟いて呪いながら、寝返りをうつ。
途端に込み上げてきた声を噛み殺し、目を閉じる。
悔しいが、狡噛さんの言う通りだ。
こんな状態ではどれだけ心配したって、何も出来やしない。
『……………友人です、昔の。』
視線が向けられるのを感じながら、頬にあたる枕の位置を調整する。
『男は皆馬鹿ばっかだって事と、どれだけしょーもない生き物かって事と、あとは…大人がどれだけカッコ悪いかとか。教えてもらいました。』
「…男か…」
『…ホランドってファーストネームの女性は多分世界中捜してもなかなかいないでしょうね。』
「いや……」と言葉を濁すのに髪の毛を耳にかけながら、口を開く。
『一緒になっても絶対に幸せになれないタイプの男です。私はマゾではないので、そういう関係になることもなかったし、なりたいとも思いませんでした。』
倦怠感と睡魔に襲われながら、規則的に動く自分のバイタルを見やる。
『……だけど、私ももう少し…馬鹿だったら…良かったって……』
それこそ何度、思ったっけ。