#21 Devil's crossroad
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「悪くなってますねぇ…」
電子カルテに目を落としてそう言ったカウンセラーを、無感動に見つめ返す。
「そうですか。」
落ち着いた雰囲気の室内中央に設えられた暖炉の薪がパチッと爆ぜる。
もちろんそれも内装ホログラムの一部だ。
「犯罪係数が7ポイント悪化、無視出来ない数値です…これ以上悪化する事があれば報告する義務が生じます。」
「ヒーリング系の装置で、ストレスケアはしているつもりなんですが…」
「もっと単純且つ効果的な方法をとるべきです。」
「それは?」と思わず素直に聞き返すと、穏やかな風貌が更に緩められる。
「親しい人に、悩みを相談するんです。恋人や家族は?」
「恋人はいません。家族は…」
大きな窓の向こうの木立の間を飛び過ぎていく蝶に、目を向ける。
「父だけが存命です。」
「貴方の年齢なら、お父様は理想的な相談相手ですよ。」
そういえば、佐々山が目を覚ましたと連絡が入っていたなと、唐突に思う。
何故かは、分からなかった。
「特殊な事情がなければ、話してみては?」
「あるんですよ」
「はい?」
人の良さそうな顔が微かに顰められるのに、知らず口元が緩んだ。
「特殊な事情。」