#21 Devil's crossroad
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『………』
両足を付けた瞬間、身体が無意識に強張るのが分かった。
埃っぽい空気に混じる、饐えた臭い。
いつ崩れるかも分からないビルディングや、かつての集合住宅の影で寄り固まるようにしている小さな影達の顔は往々にして土気色をしている。
では大きな影はと言えばピクリとも動かず、寝ているのか死んでいるのか判然としない。
立ち込めている腐敗臭や小さな羽虫の音の出所を突き止めようとして振り返った先には、得体の知れない暗闇。
どろりと濁った黒が滞ったそんな暗がりは、周囲の至る所にあった。
「…30分もすれば、すぐに慣れるわ。」
借りたジャンパーの袖で鼻を覆っていると、横手から声がかかった。
機能的なジャンプスーツを着込んだ、素晴らしくメリハリの効いたスタイルの女性。
ホランドの相棒、らしい。
「3チームに別れて包囲を狭める。マシューとヒルダはエリアoneからthreeへ、ドギーとギジェットはレントンを連れてsixからthreeへ廻れ。俺とタルホで先行する。」
「「「「「「了解」」」」」」という応えと共に散っていくメンバーを見ていたホランドが、こちらを見下ろす。
「どうした。ビビってんのか?」
『いえ……はい。』
「色相が濁りそう、って?」
弾かれたように見ると精悍な顔に野生的な、男っぽい笑みが浮かぶ。
一瞬だけ垣間見えたその表情はでも、横向いたそこからは、すでに消えている。
「大丈夫だ。自分を見失わなければ…お前が、お前で在り続ければな。」