#02 成しうる者
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『あーあー……』
<なぁに、品のない。>
表情はないくせに、口調にはいやにリアルに感情がこもるものだ。
『…品のあるため息って、どんなんよ。』
結局、唐之杜さんのところから真っ直ぐ帰ってきてしまった。
明らかに失策。
完全にタイミングを逃した。
湯気をあげる肉まんにかぶりつきながら、息を吐く。
様変わり、とはいかないまでも随分また手が加えなおされていたから、結局辿り着くまでに予想していた時間の倍近くかかった。
だが闇雲に歩く時はもう終わり。
やっと、ここまで来た。
『………』
やっと。
ややあってソファから立ち上がり、軽く手を払う。
<あら、どこ行くの?>
『お隣さん家。今日昼間いなかったみたいだから、挨拶してくる。』
キッチンに置いてあった老舗和菓子店の銘菓を手に取り、サンダルを引っ掛ける。
外に一歩出た途端フロアを吹きぬけた風に身を縮め、インターフォンに手を伸ばす。
<……はい。>
ややあって聞こえてきた声にお隣さんがどうやら男性であることを知る。
『隣に越してきた佐々山です。』
さっさと済ませて、今日は、何を見よう。