#20 聖者の晩餐
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投擲したドミネーターが、身を引いたマキシマのジャケットの裾を舐める。
ファスナーの弾かれる、ジッという音を聞きながら、前へ。
『ああああああああっ』
渾身の気合を込めた初撃が外されたのを感覚した瞬間、その右手の剃刀が視界隅で煌く。
首の横を掠めた刃が、髪を散らした。
「光ちゃん!」
切ったみたいな微笑を浮かべた端整な顔が、こちらへ飛び込んでくる。
回避は――間に合わない…!
正眼に構えていた鉄の棒に異音が弾け、手からその重さが消失する。
『!』
軽やかに半回転した華奢な身体から伸びた脚が、下腹部に、叩き込まれる。
『ぐうっ』
光
「!?」
倒れようとしている身体を叱咤し、右手を前へ突き出す。
握り締めていた鉄片が狙った筈の眼球を逸れて白い頬を、浅く裂く。
飛び散った赤い水滴の中で、その目がこちらを真っ直ぐに見ていた。
次の瞬間全身がひしゃげそうな衝撃が真横から襲い、視覚が翻弄される。
奇妙な数秒の浮遊感の後に肺に直接伝わるかのような、容赦なく固い感触。
『がっ』
金臭い匂いが五感全てを、黒く、塗り潰した。