#20 聖者の晩餐
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「話があるならこの場で済まそう。お互い多忙な身の上だろう?」
こちらを見上げてくる常守監視官が、眉を顰める。
「逃げられると思ってるの?」
「君は応援が来るまでの時間稼ぎの為にも、ここで僕との会話を弾ませるべきじゃないかね?」
「熟練の刑事なら、そう判断する筈だが」と続けると、その顔に分かり易く苛立ちが覗く。
船原ゆきを戒めていた手を離し、猟銃で指しながらゆっくりと後退する。
「君が言う複数の犯罪とは、どれの事だろう。御堂将剛?それとも王陵璃花子?」
「…やっぱり…」
「ハハッ。」
錆びた塗装が、鈍い光沢を放ちながら、落ちていく。
「僕はね、人は自らの意志に基づいて行動した時のみ価値を持つと思っている。だから様々な人間に秘めたる意志を問いただし、その行いを観察してきた…」
「いい気にならないで。貴方はただの犯罪者よ!」
「そもそも何を以って犯罪と定義するんだ?君が手にしたその銃――ドミネーターを司るシビュラシステムが決めるのか?」
常守朱の焦燥と、船原ゆきの恐怖。
両方を感じ取りながら数歩移動すると、すかさずドミネーターの銃口が突きつけられる。
「っ!」
<犯罪係数、アンダー50。執行対象ではありません。トリガーを、ロックします。>
純粋な驚きに目を瞬く様を見て、言葉を続ける。
「サイマティックスキャンで読み取った生体力場を解析し、人の心の在り方を解き明かす…科学の叡智はついに、魂の秘密を暴くに至り、この社会は激変した…。だが、その判定には人の意志が介在しない。君達は一体、何を基準に善と悪を選り分けているんだろうねぇ。」
「貴方…一体……」
肉に従って生きる事を拒否した人間を導くのは、一体。