#02 成しうる者
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――執行官を現場まで連れてきて、後はサボったり逃げ出したり、世間様にご迷惑がないようにしっかり見張る。お譲ちゃんの仕事はそれだけで十分なんだ
それだけで
それ、だけで。
――アンタは何にだってなれた、どんな人生を選ぶことだってできた
何にだってなれた
なのに。
だから、選んだ
なのに。
開かれた瞳がこちらを認めたのを見て、頭を下げる。
「すみませんでした!」
「……執行官に謝る監視官は珍しい。」
空調の効いた病室に響いた返答はひどく、静かだ。
「やっぱり怒っていますか。」
「あれがアンタらの…アンタの判断だった。俺が文句を言える筋合いじゃない。」
「私の判断が間違ってたんでしょうか……ただチームの足を引っ張って、皆を危険にさらしただけだったんでしょうか。」
――俺達が獲物を狩り、アンタが見届ける…それだけのことだ
――それだけで十分なんだ
それだけの、ことすら。
掌を握りこんだ時、感じていた視線が逸れる。
「もう長いこと執行官をやっている…」
天井を見上げるその乾いた眼差しはでも、どこか別の場所を視ているかのようにも、見えた。