#20 聖者の晩餐
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「――っう゛」
わき腹に奔った激痛に、歯を食いしばる。
あの外観、二発ごとの空白――
グリップを握り締めながら思考を整理し、意識を研ぎ澄ます。
敵の武器は、二連銃身の猟銃か。
**********
<残念ながら、時間切れです。>
聞こえてくるレフェリーの声には、隠し切れない喜びが溢れている。
あちらも何か良いことがあったらしい。
<妨害電波が破られました。間もなく、公安局の本隊が駆けつけるでしょう。>
「…ラヴクラフトがやられた。撃たれて、壊されたんだ…ヤツはとうとう撃ち返してきた…」
<泉宮寺さん?>
帽子を脱ぎ、ゴーグルを取り去る。
「昔は、発展途上国のインフラ設備にかかわる工事が多くてね…危険な現場程金になった。紛争は突発的で、状況予測と危機管理には限界があった。…現地で、ゲリラの襲撃に遭ったことがある。」
廃莢し、新しい弾を装填。
「もう…7、80年は前かな…あの時も、隣にいた同僚が撃たれたんだ。それまで泣いたり叫んだりしていた友人が、次の瞬間には肉の塊になっていた。私は飛び散った血飛沫を頭から浴びてね、彼の臭いが、私の全身にべっとりとこびりついて……勘違いしないで欲しいが、これはいい思い出の話だ。あの時程命を、生きているという実感を痛烈に感じたことは無い。それを今、私は再び味わっている。この機械仕掛けの心臓に、熱い血の滾りが蘇っている。……ここで逃げろだって?それは残酷と言うものだよ。」
投げ捨てた帽子を見つけ、しっかりと、被りなおす。
<ここから先はゲームでは済みませんよ。>
「その通りだ。これまでハンターとして多くの獲物を仕留めてきた。しかし今は、デュエリストとしてあの男と対峙したい。槙島くん。君とてまさか、ここで私が尻尾を巻く様を見たくて妙な小細工を労したわけでもあるまい。」
<…仰せの通りです。貴方の命の輝き、最期まで見届けさせてもらいます。>