#19 メトセラの遊戯
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絶え間なく襲ってくる嘔吐感と腹部の痛みで、力が入らない。
「…すまない…」
眉を下げたマキシマの指先が背に触れ、総毛立つ。
肩甲骨の少し下辺りを柔らかく押された直後にせり上がってきたものが、網目状の床を叩いた。
「咄嗟に加減が出来なくて…――
バシッと重く響いた音がした直後、崩れた身体が細い腕に受け止められる。
身を捻ったつもりだが実際、動けた気がしなかった。
<とんでもない奴だ…>
「キツネと言えどイヌ科の獣です。あるいはオオカミの眷属かもしれない。」
上から降ってくる会話に思考を絡ませ、必死に意識の糸を張る。
<槙島君。今回のゲームについて、さては何か…私の知らない趣向まで組み込んでいるのかね?>
「人は恐怖と対面した時、自らの魂を試される。何を求め、何を成すべくして生まれてきたか…その本性が明らかになる。」
<私をからかっているつもりかね?>
「あの狡噛という男だけではない…貴方にも興味があるんです、泉宮寺さん。」
ドクッと響いた鼓動の音は多分、マキシマにも伝わった筈だ。
「…この不測の事態…予期せぬ展開を前にして、貴方もまた、本当の自分と直面することになるでしょう。そんなスリルと興奮を、貴方は求めていた筈だ。」
<…いかにも。君のそういう人を食ったところは私も嫌いではないよ。>
通信が途絶え、しんと沈黙が落ちる。
空気を伝ってくる愉悦に満ちた気配に喉が、鳴った。