#19 メトセラの遊戯
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「とりあえずマップデータでなくナビを信じるとしてだな、狡噛はどっちの方角へ向かったか分かるか?信号が妙な動きをしたりとかは?」
「妙なって言えば…」
剥き出しにしていた感情が跡形もなく消え失せたのを横目で見やりながら、再び錆びたガードレールに腰を預ける。
「もしかして駆け落ちとか。あの二人最近なぁんか怪しかったし?在り得なくないっスよね。」
「………」
見え見えの予防線に睨みつけると、縢が肩をすくめてくるりと背を向けた。
「専用デバイスの電源オフは、職務規定違反。」
「………」
「先程仰ってたじゃないですか」と何の感慨もなく言い放たれるのに、眉間に皺が寄るのが分かった。
思わず出かけた舌打ちを、すんでのところで、堪える。
果たしてそんな必要があるのかどうかは自分でもよく、分からなかったが。
「途中からいきなりすーっと、ものすごい速さで真っ直ぐに……――そうだ!乗り物に乗ったんだ!」
「嬢ちゃん?」
コートの裾を翻して六合塚に駆け寄った常守が、その手元のPCを覗き込む。
「この辺りに、南北に走る地下鉄路線がありませんか?」
「ちょっと待って…」
データベースから過去のものが、現在のものに次々と重ねられていく。
「あるわね。地下鉄銀座線。でも、60年前に廃線になってる。」
大きな瞳が微かに揺れ、上を向く。
追って見上げたそこは、今にも降り出しそうな色をしていた。