#19 メトセラの遊戯
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「駄目だなぁ。」
廃ビルの中から出てきた征陸さんが、困ったように頭を掻いた。
「地下室は水没している。臭いからして、間違いなく廃液混じりの汚染水だ。あんなの生身で浴びたら無事じゃ済まんぞ。」
階下を覗き込むようにした縢くんの表情も、険しい。
「でも、間違いなく狡噛さんはその先に進んだんです。それどころか壁を通り抜けて、もっと奥まで…」
「ナビの故障じゃねぇ?」
「ハードでなく、ソフトの問題かも。」と周辺の詳細な地図情報を検索していた六合塚さんがガードレールに腰掛けたまま呟く。
「この辺は再開発を何度も繰り返してたから、登録されてるデータが実態通りかどうかは知れたもんじゃないわ。」
意味ありげに流された視線に気づかないまま、顔を俯ける。
「騙されたのは、君だけじゃないのか?常守監視官。」
「…え…」
思いもかけない言葉に見上げると、その目が一瞬だけこちらを見た。
「狡噛は君の監視下を離れ位置情報もロスト…つまり。」
どうして
「初めから逃亡する目論見で、この状況を演出したのかもしれない。」
そんな事が言える。
よくも、そんな事が
「――っ「あー、お嬢ちゃん。」
遠慮がちに割り込んできた声に、宜野座さんがふっと顔を背ける。
よりによって、貴方に。