#19 メトセラの遊戯
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認証ポイントに手首をかざすと、バングル上に自身のバイタルサインを含めた個人情報がホログライズされる。
「常守朱、監視官権限により執行官の武装を申請。」
<声紋並びにIDを認証。レベル2装備を認可します。>
ボードから出てきた電磁警棒に目を落とした瞬間、鼻で笑う声が聞こえ、腕が伸びてくる。
「ナビゲーションは任せる。ロケーションマップあるよな?」
「ええ…データは古いですけど、一応は。」
膝の上に広げたPCを操作し、情報を呼び出す。
無言で踵を返すのに知らず口を開くが、何も出てこない。
遠ざかっていくのを見送っていた目を戻して画面を見下ろすと、追尾対象を示すサインが正常に稼動しているのを確認出来た。
大きくがっしりとした後姿を再び、見やる。
日陰の色に侵食されていくその背に感じた微かな不安と焦燥を振り切るように、画面に目を据える。
――朱ちゃん
ダッシュボードに投げてあった携帯を手に取り、リダイヤルボタンを押し込む。
間違って、送信されたものなのかもしれない。
自分がそう思いたがっているのも、分かっていた。
「!」
唐突に途切れた呼び出し音にそれを望んでいた筈なのに、瞬間滑稽な程動揺する。
「――光ちゃ<おかけになった電話番号は、現在、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていない為、かかりません。>
何度も繰り返される自動音声を聞きながらフロントガラス越しに見た空の色は、さっきより暗くなっているように、感じられた。
<おかけになった電話番号は――>