#18 碧の福音
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……佐々山は…兄貴は、どんな奴だった?」
『…んー……どうだろう…実際離れてた時期の方がもう、長いんで…』
浮かんだ薄い笑みと途切れた言葉に口を開こうとすると、その首が緩く振られる。
『……私が始めた話です。…少しだけ。いいですか?』
視線を外して、胸元を探る。
「……吸っても?」
その顔に極々小さな笑みが浮かぶのを見てとり、火を点ける。
『確か、中等教育課程の頃にはすでに吸ってたかな。』
『煙草』と続けた佐々山が、膝を引き寄せる。
無造作に束ねられた髪が、その動きに合わせて微かに、その背中で揺れる。
『学校に呼び出されたその日の夜、父にものすごく怒られてて。家飛び出して、そのまま帰ってこなかった。でも私が朝、玄関を開けたら、待ってて。一緒に学校まで行ってくれました。』
「………何か話を?」
『何も?』
ふふっ、とおかしそうに笑ったその顔が上向く。
『ホントに、なーんにも。一っ言も話さないんです。黙ったまんま。唯一、母さんは?って。でも私も別に、普通、って。それで、終わり。』
『でもね』と優しく続けられた、柔らかな声とその表情に瞬間、見入る。
『分かったから。言いたいことは、なんとなく。』
先程自分が放り出した瀬戸物を再び摘み上げた指先が、緩く握られる。
ああ、本当に
『ごめんて、言いたいんだな、って。…ママと私のこと、一晩心配してたんだな、って。』
お前ってヤツは。