#02 成しうる者
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「……どう?久しぶりの日本は。」
そう声をかけると下げられていた頭が上がり、緩く波打った明るい髪が華奢な肩先を過ぎて落ち着く。
『環境が一気に変わって、そちらに慣れるのに精一杯で…』
『久しぶりだという感覚は』と丁寧に答える様は、その容姿とあまり合っていない。
明るい髪色に、西洋人形のような細く長い手足。
地味な黒スーツを華やかに着こなして魅せている少女の面差しはしかし、数年前に見たままだ。
髪よりは暗いが、柔らかな色を宿しているのにどこか険のある目元。
彼女の兄を知っている者なら誰でも、そこに彼を重ねるだろう。
「昨日は配属初日からまた、結構だったらしいわね。」
『はい。』
力のない笑みに笑い、視線を上向ける。
「しかしまさか上から降ってきて蹴り入れられるとは狡噛くんも、驚いたでしょうね。」
頬に薄っすらと朱を刷いて恥ずかしげに髪に手をやった少女がややあって、『どうしてご存知なんですか』と消え入りそうな声で応える。
「新人の情報なんて係関係なく筒抜けよ。気をつけなさい。」
『……そうします。』
「覚悟は、あるの。」
短い問いかけに計ったように消える、音。
足元を照らし出す明かりを灯したのはその光か
あるいは。
だけど貴方はこの子のこんな顔を、望んだろうか。