#18 碧の福音
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時刻は深夜2時。
例によってファンの回る音だけが支配する一係室内でこうしてキーボードを叩き続けて、もうかれこれ3時間近くが経過する。
自分の場合、入省当初は当直勤務中のこの時間帯はただただ睡魔との葛藤だったが。
「………」
黙々とデスクワークをこなし続ける姿に小さく息を吐き、腰を上げる。
湯の沸く音がたち始めた頃になってやっとこちらに向けられた瞳が、瞬く。
「いるか。」
瞬間、ふっと綻んだ顔は驚くほど柔らかで今度はこちらが、瞬く。
『ニコチンだけじゃ飽き足らずカフェインもですかー?絶対早死にしますよ、狡噛さん。』
笑って軽く伸びをする佐々山にやっていた目を戻し、真っ黒い液体を掻き混ぜる。
無言でカップを差し出し、そのまま壁に背を預けた。
「……何かあったのか。」
『へ?』
不意打ちに覗いた幼さに知らず目を細め、カップに口をつける。
こちらを見上げるその顔に浮かぶ表情が少しずつ変わっていくのを
ただ、見ていた。
それだけで良かった。