#02 成しうる者
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辺りに目を配りながら、綺麗過ぎるほどに整備された街を歩く。
家を出る前に見たマップ通りに進みながら、今いるエリアと自宅、そして職場をそこへ当て嵌めていく。
『さて、ああは言ったものの…』
大きく見開かれた灰色がかった瞳を思い出し、気分が重くなる。
『………』
気にして折角の休日を台無しにするのも馬鹿馬鹿しい。
今日が出番かどうかはわからないが、個人的に会いたい人もいる。
向けた足の先に聳えるタワーは夜とは違い、拍子抜けするほど大人しやかだった。
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「………」
目当ての部屋から出てきたその人の瞳は、濃い緑を少々薄く伸ばしてから磨き上げたような艶がある。
笑顔で小さく頭を下げてみても、それは変わらずただ自分を映すだけ。
無反応で歩き去っていく背中に若干唖然としかけたが、気を取り直す。
まあ世の中、ああいう人もいる、のかもしれない。
「す、すみません!分析官の唐之杜志恩さんはこちらに…」
開いたドアの向こう、薄暗い明かりの下で金髪が動き、こちらを振り返る。
「はいはい、どちら様?」
大胆に開かれた胸元に思わず詰まった後、右手を上げる。
「昨日付けで刑事課に配属になりました、常守朱です。」
「ああ~!慎也君撃った方の子ねぇ?」
撃った方の子と、蹴った方の子。
そんな認識が一体、どこの誰まで浸透しているのだろうか。