#17 Would you please listen to me?
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「大体君達は「ギノ、俺が無理に頼んだんだ。」
軽く首を回しながらそう言った狡噛さんが、持っていた双眼鏡を腕に通す。
「何?」
「二人を責めるなよ。この寒さだ、暖かいものでも摂らんコトにはいざという時に体が動かんからな。」
暖かいもの…?
一抹の不安を覚えて顎に手を添え、朱ちゃんと顔を見合わせる。
「…まぁいいだろう」と鷹揚に腰に手をあてた宜野座さんが、こちらを向いて片眉を上げた。
「買ってきたものが冷えないうちに、執行官達に渡してやれ。」
『ええっと…』
「暖かいもの…ですか…?」
「どうした。」
いつの間にか隣に歩み寄ってきた六合塚さんに、観念して袋を差し出す。
「買ってきてくれたんじゃないのか?」と心もち首を傾げて問う狡噛さんの背後の空はもう、日が落ちきって真っ暗になっている。
「…二人が買ってきてくれたのって……あんぱんと牛乳…だけですか?」
「ああのぉっ…以前往陸さんが、張り込み中の刑事はあんぱんと牛乳しか食べない…って……言ってたんです、けど…」
『やっぱ違ったんだ…そうだよね、右京さんも成宮君もそんなの食べてなかったもん…』
「そうかぁ…」と頭を掻いた狡噛さんの横で、眼鏡を抑えると見せかけて眉間を支えている宜野座さんをいたたまれない思いで見上げる。
「あんぱんはいいとして、冷たい牛乳はツライなぁ。これ以上体が冷えたら、手足がしもやけになっちまいそうだ。」
「どうしたもんか」という風に首に手をやるのに、隣の宜野座さんが「フッ」と鼻で笑う。
「この程度の寒さで弱音とは、随分軟弱な猟犬だな。」