#17 Would you please listen to me?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「狡噛、六合塚、状況はどうだ?」
背後から近づいてきた気配に、隣の六合塚が軽く目礼する。
「依然動きはない。張り込みを開始してからそろそろ8時間…さすがに焦れてきたぜ。」
溜息ついでに腰を上げると、「よせ」と逆に姿勢を低くしたギノが前方を見ながら呟く。
手にした双眼鏡で向かいのビルを見るその眉間に、微かに皺が寄る。
「経済省と関わりの深い、剣菱の本社ビルだ。迂闊に踏み込めば問題になる…奴がビルから出てくるのを待つしかない。」
「わかっているさ。」
「ん?そういえば、佐々山と常守監視官の姿が見えないが……」
「宜野座監視官て、常守監視官のことは常守監視官なのに、佐々山監視官のことは呼び捨てなんですね。」
打ちっぱなしのコンクリートの上で足を揺らしていた六合塚が、ぼそりと口にしながら、体勢を変える。
恐らく自分よりも彼女の方が余程、この状況に痺れを切らしつつあるようだ。
「…それがどうした。」
「いえ別に」とすげなく返答する声が、軽い足音にかき消される。
『……何も、走んなくても…』
「お待たせしました!」
膝に両手をついて顔を上げた常守の右手には、白いビニール袋。
その後ろでパタパタと手で顔を扇いでいる佐々山も、寸分違わず同じ物を左手に提げている。
「…常守監視官、佐々山。今まで一体どこへ行っていた。」
「ああ、すいません…ちょっとそこのお店まで。皆が食べるものを買いに…」
目をひとつ瞬かせたギノが、一拍置いてこれみよがしに息を吐く。
「君達の任務は、執行官を監視・指揮する事だ。決して使い走りをする事じゃない。」