#16 琥珀色の記憶
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微かに目を見張ってこちらを見下ろすのに溜め込んでいた感情が簡単に、堰を切る。
『分かってる!そんな事!!だから止めたんじゃない!……出来なかったの!!…だけど』
だけど
『――っだけど!それじゃアイツには、マキシマには辿り着けない!』
「…だがここでそうやってお前が冷静さを欠いて下手を打てば、一係の連中にだって迷惑がかかる。それでなくとも制約のかかったお前を抱えてるウチは、上から目を『――煩い!!』
自分の声が、キンッと耳に反響する。
ともすれば真っ赤に染まって、焼ききれそうな頭を抑えるように目を瞑った。
『分かってるって、言ってるでしょう!?バカにしないでよ――私だって――どんな想いでここまで――やっと…やっと見つけたのに…!』
「……佐々山」
遠慮がちに肩に触れた指先を、振り払う。
『私だって同じです!!――犯罪係数が上がったって…、――例え執行官になっても私――
パシッという音に身体ごとよろめく。
反射的に頬を押さえると、じんと響くような熱が掌に痛みを帯びて伝わる。
微かに、ほんの微かに、痙攣するみたいにして細められる、瞳。
『………』
そんな表情を真っ直ぐ人に向けるのは、卑怯だと思った。
見上げていたその姿がぼやけて、あっという間に見えなくなる。
引き寄せられた先でぶつかった胸は広くて暖かくて、仄かな煙の香りがして。
生きている
『……っ~……』
ヒトの、匂いがした。