#16 琥珀色の記憶
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『…え……な、んで…』
目を見張ってこちらを見つめる佐々山はいつものスーツではなく、触り心地の良さそうなシフォンのワンピースを着ている。
『…なんで…鍵……』とあからさまにうろたえる様が面白くて、思わず口元が緩む。
「また一つ学んだな。」
『…は…?』
「大人は、すぐに裏切る。」
『大人、って…』
絶句した佐々山から視線を外し、女の一人暮らしにしては広く、そしてやや散らかり気味の室内を眺める。
『雑賀先生が、私の事喋ったんですか? それとも唐之杜さん? 』
矢継ぎ早の詰問に息を吐き、正面から目を合わせる。
「気が引けたか。私欲に人を巻き込むのは。」
苛ただし気に髪を掻きあげた佐々山が、後ろ手に窓を閉めて歩み寄ってくる。
『帰って下さい。』
臆せず見上げてくる色素の薄い瞳に眉根を寄せ、口を開く。
「自分が何をしようとしたのか、分かってるのか?」
『………』
「もし本当にやってたら、サイコ=パスには確実に影響が出た筈だ。最悪の場合は犯罪係数の悪化だって有り得た。」
黙り込んで目を背ける仕草に、抑えていた感情がせりあがって来る。
「お前だけの問題じゃない。これでもしお前が上に――……それに先生はどうなる?”出戻り”のお前がもし少しでも問題行動を起こせば、そのとばっちりを喰うのは身元引受人の―――っ!」
力一杯突き飛ばされ、たたらを踏む。
燃えるような怒りを宿してこちらを睨みつける大きな瞳は、真っ赤だった。
『………分かってるわよ……!』