#02 成しうる者
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『あ、大丈夫。ありがとう。』
給仕ロボットに丁寧に断った光ちゃんが、こちらに顔を戻す。
『いやだってほら、やっぱりマズいでしょ。階級上は部下とは言え先輩だしさ、蹴り入れといて謝罪なしってのはちょっと…良くないかな、と。』
昨日のあの光景は当分、なかなか忘れられないだろう。
夜風になびいたピンクブラウンが目に映った直後、真っ直ぐ奔っていった、青。
痺れるような感覚を思い出して、知らず両肩をさする。
「私なんて、気絶させちゃっ…ああも~行きたくないよぉ~」
しかも何故寄りによってあの人だったのか。
「……狡噛さんてさ、なんか一番…アレそうだったよね。」
『うん、アレそうだったね…。』
同時に吐いた、ため息。
今後一緒に仕事をしていくのだから、良好な関係を築く努力はすべきだ。
例え、時すでに遅しかもしれなくても。
苦笑に次いで降ってきた『じゃあ、また』という言葉に、慌てて顔を上げる。
『六越…はあっちから出た方が近いか。』
密かな期待が裏切られたことに肩を下げ、ケーキをつつく。
『お邪魔してごめんね、水無瀬さん、舩原さん。』
「あ、全然!」
「なんか大変そうだけど、頑張ってね。」
『ありがとう。じゃあ、朱ちゃん。』
「うん……またね…。」
颯爽とテラスを横切っていくその背中を見ていたゆきが、眉を寄せた。
「……蹴りって?」