#16 琥珀色の記憶
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どこからか吹いてきた風の後を追って、数本の髪が視界を泳ぐ。
『………』
まだ熱を持って鈍く疼く目元にそれは少し、くすぐったくて。
誰が見ているわけでもないのに、手すりについた腕に顔を伏せた。
――いつまで、そうしてるつもり?
呆れを滲ませた声はでも、柔らかだった。
今、この身を包む大気と、同じくらいに。
苦しかった。
とても。
ここには誰もいない。
いなくていい。
それで、いい。
それで――<……佐々山……?>
まだ耳に残る低い声から逃げるように、縮こまる。
馬鹿みたいだ。
こんなことをしたって、どうなるわけでもないのに。
もっと
もっと苦しく、なるだけなのに。
重なって、逃げて。
逃げて、重なって。
零れかけた嗚咽をこうして、あと、何度。