#15 楽園の果実
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「ふむ」とため息にも似た相槌を挟んだ雑賀先生のその口元が微かに弧を描くのが見えた。
「命令だったとしたら、断ったところだ。」
そう言ってコーヒーを置き、デスクに設置されたパソコンを起動する。
「シビュラシステムの誕生以降、最悪の犯罪者だと思われます。」
「と言うと?」
「極めて高いレベルの知能犯…恐らく肉体的にも頑健。特殊なカリスマ性を持ち、自分で直接手を下すことは少なく、他人の精神を支配し影響を与え、まるで音楽を指揮するように犯罪を重ねていく男です。」
淀みない人物描写に、滑らかにキーを叩いていた手が、止まる。
小さく苦笑を浮かべるのに瞬いて隣に目をやった横顔に、あるのも。
「狡噛、カリスマ性とは何だい?」
「…英雄的…支配者的資質という意味で使いましたが。」
「20点、かな。」と眼鏡を押し上げる様を、見つめる。
「カリスマ性には三つの要素がある。英雄的・預言者的資質あるいは一緒にいて気持ちが良いというシンプルな空間演出能力、そしてあらゆることを雄弁に語るための知性。狡噛が探しているのは、どのタイプかな?」
「全ての要素を備えていると、考えられます。」
「…成る程」という小さな声と嘆息の生み出した沈黙に混じる、苦笑。
どちらかと言えば強面のその顔が、先よりも柔らかく、緩んだ。
「加えて色男、なんだろ?」
「「……は……?」」