#15 楽園の果実
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「飲み物はコーヒーでいいかな?」
「ええ」
「あ、はい。」
「あぁ…って言ってもな、コーヒー以外ないんだよ。」
二辺を窓で囲まれた部屋は、自然光でとても明るい。
緑濃い緑樹や鳥のさえずり、水のせせらぎから、生き生きと弾むような瑞々しさが伝わってくる。
なんだか久しぶりに、一心地つけた気がした。
「常守朱監視官。」
「あ、はい。」
「千葉県出身かな。」
「あ、はいそうですけど…」
「君は運動神経は悪くないのに、何でだろう……?」
不意打ちに、いささか苦しいと知った上でカップに口をつけた時。
「そう…泳げない。」
危うく戻ってきそうになったコーヒーを堪え、目を見開く。
隣でおこった小さな笑い声にも、関する余裕がない。
「ええっ」
「両親はまだどちらもご存命、一人娘になかなか恋人ができないのを心配している。」
「ええっと…」
「公安局入りにも反対だった。そして祖父か…祖母……うん祖母だな。可愛がってもらった、かなりのお祖母ちゃん子だねえ。」
こちらを見る瞳のその穏やかな色をただ、見返す。
何故だかちっとも、不快ではなかった。