#15 楽園の果実
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丑三つ時を過ぎても尚明るい都市の、とある一角。
薄汚れた明かりがぽつぽつと点在するだけのこんな場所に、これだけの人間がいるのにはその光源と同じく薄汚れた理由があるのだろうが、今はそれに構っている時ではない。
「六合塚、遅れてるぞ。」
耳に装着した通信機を押さえながらそう言い、自分も足を速める。
<…毎度疲れる散歩だわ――>
規則的に降ってきていた軽い足音がパタリと止み、一拍後に3m程先からまた、響き始めた。
障害物をほぼ無視して動く佐々山が指揮を執ると自然、狩りの展開も速くなる。
しかし自身の立場は弁えているようで、決して獲物に一番乗りということはしない。
≪狡噛さん、今どの辺りですか?≫
「…数奇屋橋交差点から、南西に向かってる。右手はさっきからずっとテナントビルだ。」
≪…ではあと300M程で高架下に出るかと思います。左手に見えるアーケード手前の脇道に入って下さい。≫
回線内を抜けた口笛は、志恩のものだ。
<立体地図でも見てるって感じねぇ。オーケイ、じゃあ弥生は今通っているアーケードをすぐ右へ。そのまま直進。>
「ホシは!」
いつの間にか近くなったその気配に直接問いかけるように声を張り上げた。
ややあって届いた≪見えてます?≫という返答の直後、三つ先の角から出てきた小柄な男。
「――ああ。」
浅く顎を引いてドミネーターを持ち直す。
<こっちも――きたわ。>
淀んだ夜に引かれた刹那の、青。
≪護送車の移動、お願いしまーす。≫