#14 あとは、沈黙。
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伸ばしかけた手を、引っ込める。
何度繰り返したか知れないその行為に息を吐き、窓外に目を向ける。
眩しく輝く夜景に疲れを覚え、締め出すように瞼を下げた時。
ポーンと鳴った音を、コンコンとノックの音が追いかける。
眼前に広がった玄関前の映像を見ることなく通り抜けて辿り着いた、先。
眼鏡を押し上げ、ドアノブに、手をかける。
『まいどー、佐々山軒でーす!』
下げた視界の中で笑うその様に、目元がまるで、痙攣するみたいに。
「………遅いぞ。」
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伸ばしかけた手をずらし、煙草を掴む。
何度繰り返したか知れないその行為に哂い、天井を見上げる。
窓の無いこの部屋でその姿を想像するのはとても困難で
そのことに何故か、ひどく安堵した。
「………」
噛み潰した煙草を灰皿に押しつけ、腕で顔を覆う。
そうして久し振りに見た夢を、目覚めた時にはよく覚えては、いなかった。
ただ、そこに時折混じった微かな香りだけは
それだけは、残っていて。
自分が何を望んでいるのか、欲しているのかは、否定しようも無くて。
昨日を繰り返すように腕でまた顔を、覆った。
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