#14 あとは、沈黙。
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繋がった空間に意識を向けながら、冷えた空気を吸い込む。
「念のため、最後に質問しておきたい。王陵璃華子、何故僕を失望させることになったのか…君自身に自覚はあるかな?」
<……何の話です?私が一体何を……>
困惑と疑念に溢れた声に首を反らし、通話口を近づける。
「うん…自覚が無ければ反省の仕様も無い。やはり君にはこれ以上の成長は期待できないようだ。残念だよ…初めはもっと、前途有望な子だと思っていたんだが。」
<先生…槙島先生、一体どういうことなんですか?>
ペンライトのスイッチを押し、細く強い明かりを、瞳に入れる。
吸い込んだ光を消し、顔を動かして合図を送る。
「ゴートの女王、タモーラの台詞だったかな。可愛い息子達からのご褒美を奪うことになる…あの子達の情欲は、満たしてやらねば。」
微かに息を呑む音の余韻を楽しみながら、目を落とす。
「さあ、狩りが始まるぞ。白々明けの朝、野原は芳しき香り、森の緑は濃い…ここで猟犬を解き放ち、声高く吠えさせよう。真夜中になるとここは何千もの悪魔や、しゅうしゅうと威嚇の音をたてる蛇、何万もの子鬼や、体の膨れ上がったヒキガエル共が集まって、身の毛もよだつ狂乱の叫びを上げる…この女の涙を見るのは、貴方の名誉になる。ただし心を火打石にして、涙の雨だれなどはね返すこと。」
届いた悲鳴に応えるように口を動かし、さあ、続きを。
「さて、その舌で喋れるなら告発するがいい…誰に舌を切られ、誰に犯されたか。想いの丈を書いて訴えるがいい…その二つの切り株で、字が書けるなら。この女の生涯は野獣に似て、憐れみに欠けていた……死んだ今は、野鳥程度の憐れみが似つかわしい。」
本を合わせ、目を閉じる。
「いいんですか?あの子結構お気に入りだったんでしょ?」
「ああ、もっと面白い玩具が見つかったからね。ちょっと情報を集めて欲しい…昼間学校に来ていた公安局の…一人は恐らく執行官。彼は狡噛と言うそうだ。それから――」
ああ
「佐々山、光。」
やっと、君に会える。