#14 あとは、沈黙。
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<は~い、そっくりでしょ?>
揃って声を失くしながらも提示された物を背伸びして見る二人を横目で見て、自分も習う。
<アタシの店でも彼の作品にはイイ値が付いたわぁ。浮ついた流行りモノじゃなくて、きちんと根源的なテーマが見て取れたからよね。>
生憎、芸術には縁がない。
誰かさんの言葉を借りれば、ただグロくてキモい胸糞悪くなる系。
それでも所沢くんだりまで散歩にきた甲斐があったと言うものだ。
「助かったぜ。」
そう言ってケージから身を引くと、コートを握りしめていた手も、ようやく離れる。
「捜査資料から検索だ。王陵牢一…何かひっかかる項目はないか?」
常守の手元を覗き込んでいた佐々山の目が上がり、びくりとその身体が波打つ。
<こんにちは。>
『!』
その視線を追って、両手をついてこちらを眺めている奇怪な、人体模型のような姿をした男と目を合わせた時。
「ええっと…桜霜学園に同じ苗字の生徒が在籍してます……この子!血縁者ですよ、狡噛さん!!」
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「傘、持ってきてないのに…。」
後部席から聞こえてきた独り言に、窓外を見上やる。
分厚い雲の立ち込める空を抱く街は暗く、どこか、眠たげだ。
「…さっさと終わらせて、降り出す前に帰ればいい。」
『本気で言ってます、それ?』
「賭けるか」と言いかけ、止めた。
多分また、ゲームにならない。